高齢の親が抱える鍵のトラブルは、サポートグッズだけでは解決が難しい場合もあります。特に、錠前自体の劣化が進んでいたり、親御さんの身体能力の低下が著しい場合には、より根本的な解決策として、玄関の「鍵(錠前)そのものを交換する」という選択肢が、非常に有効となります。最新の錠前には、高齢者の使いやすさに配慮した、様々な工夫が凝されているのです。まず、検討したいのが、「操作性の良い鍵への交換」です。例えば、従来のギザギザした鍵や、向きが分かりにくいディンプルキーから、リバーシブルタイプで、かつ、抜き差しが非常にスムーズな、ユニバーサルデザインの鍵に交換するだけでも、操作性は格段に向上します。また、鍵の持ち手部分が、標準で大きく設計されている製品も、握力の弱い高齢者には最適です。次に、ドアノブや錠前の形状を見直すことも重要です。手首をひねって回す必要がある「円形のドアノブ」は、高齢者にとっては意外と負担の大きい操作です。これを、上から下に押すだけでドアが開けられる「レバーハンドル」に交換するだけで、ドアの開閉は驚くほど楽になります。さらに、一歩進んだ解決策として、「電子錠(スマートロック)」の導入も、非常に有力な選択肢です。暗証番号を入力するタイプであれば、そもそも鍵を持つ必要がなくなり、紛失のリスクから解放されます。カードキーをかざすタイプや、リモコンのボタンを押すだけで解錠できるタイプは、指先の細かい作業が苦手な方でも、簡単に操作できます。最近では、後付けで簡単に設置できる電子錠も多く市販されており、大掛かりな工事不要で導入することも可能です。もちろん、新しい操作方法を覚えてもらうというハードルはありますが、一度慣れてしまえば、その利便性は計り知れません。鍵の交換は、単なる防犯対策ではありません。それは、高齢の親御さんが、いつまでも安全に、そして自立した生活を送り続けるための、家族からの愛情のこもった贈り物となるのです。
鍵交換で解決する高齢者の鍵問題