現在、あなたの愛車に付いているキーが、リモコン機能のない、昔ながらの物理的な鍵(ブレードキー)だったとしても、諦める必要はありません。後付けの「キーレスエントリーキット」を導入することで、あなたの車にも、リモートキーの便利な機能を、比較的安価で追加することが可能です。これは、愛車の快適性を、手軽に、そして劇的に向上させる、非常にコストパフォーマンスの高いカスタムと言えるでしょう。キーレスエントリーキットは、主に、電波を受信する「受信機ユニット」、ドアロックを作動させる「ドアロックモーター(アクチュエーター)」、そして、もちろん「リモコンキー本体」で構成されています。その取り付けは、車の電気系統に関する、ある程度の知識と技術を要するため、DIYに自信がない場合は、カー用品店や、専門の電装業者に依頼するのが賢明です。作業の主な流れは、まず、受信機ユニットを、運転席の足元など、車内の適切な場所に設置し、車の常時電源やアースに接続します。次に、各ドアの内張りを剥がし、ドアロックの機構に、アクチュエーターを取り付け、配線を行います。このアクチュエーターが、リモコンからの信号を受けて、物理的にロックノブを上下させる、いわば「指」の役割を果たします。そして、受信機ユニットと、各ドアのアクチュエーターを配線で繋げば、ハードウェアの設置は完了です。最後に、リモコンキーと受信機をペアリング(同期)させれば、あなたの車は、ボタン一つでドアロックを操作できる、現代的な仕様へと生まれ変わります。製品によっては、ハザードランプが点滅して施錠・解錠を知らせる「アンサーバック機能」や、トランクを開ける機能、あるいは、一定時間後に自動で施錠する機能などを備えた、高機能なモデルも存在します。年式の古い車でも、あるいは、新車購入時にキーレス仕様を選ばなかった車でも、後付けのリモートキーは、まるで車を買い替えたかのような、新鮮な感動と、日々の快適さをもたらしてくれます。それは、愛車への愛情を、さらに深めるための、素晴らしい第一歩となるでしょう。