車の鍵をすべて紛失してしまった時、頼りになるのは主に「自動車ディーラー」か、街の「鍵屋」です。どちらに依頼すべきか、それぞれのメリット・デメリット、そして料金の傾向を理解し、自分の状況に合わせた最適な選択をすることが重要です。まず、「自動車ディーラー」に依頼する最大のメリットは、その「確実性」と「安心感」です。メーカーの正規代理店であるため、純正の部品を使用し、自社製品に関する完璧な知識と技術で対応してくれます。特に、イモビライザーが搭載された複雑な鍵の再設定や、スマートキーの新規作成といった、高度なセキュリティに関わる作業は、ディーラーでなければ対応できないケースがほとんどです。品質と信頼性を最優先するなら、ディーラーが最善の選択と言えるでしょう。しかし、デメリットもあります。料金は最も高額になる傾向があり、スマートキーの作成などでは十万円を超えることも珍しくありません。また、部品の取り寄せに数日から数週間かかることもあり、その間は車を店舗に預ける必要があるため、レッカー移動も必須となります。一方、「鍵屋」の最大のメリットは、その「スピード」と「機動力」です。多くの鍵屋は二十四時間対応の出張サービスを行っており、電話一本であなたが立ち往生している場所まで駆けつけてくれます。そして、その場で鍵穴から新しい鍵を作成してくれるため、うまくいけば数時間で問題を解決できます。「今すぐ、この場でなんとかしたい」という緊急性が高い場合には、非常に頼りになる存在です。料金も、ディーラーよりは安価に済む可能性があります。ただし、デメリットとして、イモビライザー搭載車に対応できる業者は限られており、技術力にもばらつきがあります。また、残念ながら高額請求をする悪徳業者が存在するのも事実です。結論として、時間に余裕があり、純正の品質と確実性を求めるなら「ディーラー」。緊急性が高く、一刻も早く車を動かしたい場合は「対応可能な鍵屋を探す」という使い分けが基本となります。