鍵が鍵穴で折れてしまうというパプニングに遭遇した際、パニックから「とにかく開けたい」という一心で、誤った対処法に手を出してしまう人が少なくありません。しかし、良かれと思ってやったその行動が、実は鍵穴(シリンダー)に致命的なダメージを与え、数千円で済んだはずの修理を、数万円の交換費用がかかる大惨事に変えてしまうことがあります。ここでは、絶対にやってはいけない代表的なNG行動を具体的に解説します。まず、最も危険で最悪の結果を招きかねないのが、「瞬間接着剤」の使用です。折れた鍵の持ち手側に接着剤を付け、鍵穴に残った破片とくっつけて引き抜こうという考えですが、これは絶対にやめてください。液状の接着剤がシリンダー内部に流れ込み、中で固まってしまったら、もはや鍵穴は二度と使えなくなります。プロの鍵師でも手の施しようがなく、シリンダーごと交換するしか選択肢はなくなります。次に多いのが、「針金や爪楊枝、安全ピンなどで鍵穴をほじくり出す」行為です。鍵穴の内部は、非常に精密で繊細なピンが何本も並んでいます。そこに硬い異物を差し込んでグリグリと動かせば、内部のピンを曲げたり、傷つけたりしてしまいます。それだけでなく、取り出そうとしていた鍵の破片を、さらに奥へと押し込んでしまう可能性が非常に高いのです。破片が奥に入り込めば、プロが特殊な工具を使っても取り出すのが困難になり、作業料金が高くなる原因にもなります。また、「鍵穴用ではない潤滑剤(CRC-556など)を大量に吹きかける」のもNGです。これらの油性潤滑剤は、一時的に滑りが良くなったように感じますが、時間が経つとベタベタになり、鍵穴内部のホコリや金属粉を吸着して固めてしまいます。これが原因で、シリンダーの動きが著しく悪化し、いずれは故障につながります。鍵穴のメンテナンスには、必ず速乾性のパウダースプレータイプの「鍵穴専用潤滑剤」を使いましょう。これらのNG行動を避けることが、被害を最小限に食い止めるための鉄則です。
絶対やってはいけない!鍵穴を壊すNG行動